タクシージャパン 掲載コラム

2025年の振り返り

クルーズ船と日本版ライドシェア

 本コラムの執筆時点で、今年も残された日々は早くも2週間弱となった。年末につきものの1年の振り返りと来年の抱負を書かねばならない。
 今年の2月に筆者は後期高齢者に突入し、明らかな体力の低下と記憶力の衰えに愕然とする日々が多い。いつも使っている言葉が突然、思い出せなくなり、とりわけカタカナの英語用語が腹立たしいほど出てこない。これは認知症の初期症状なのかと心配にもなるが、一方で、TV電話で隔週の日曜日に会話する、今年100歳になった郷里の母が「最近、物忘れが激しい!」と嘆くのを聞くと、「百歳だから当たり前!」と思いながら、思わず苦笑してしまう。
 加齢現象への愚痴の種は尽きないので、これぐらいにして、今年を振り返ってみたい。
 今年は、清水港に寄港するクルーズ船のインバウンド客への貸切となるチャータータクシー手配の仕組の深化、とりわけイベント型の日本版ライドシェアの仕組の確立・運用の時期であった。
 昨年のクルーズ船インバウンド客へのタクシーの配車時、時には1時間近くタクシーの乗り場で客を待たせてしまうケースが発生したことから、その問題に対処するためのイベント型日本版ライドシェアの活用を思い立つ。静岡市役所交通政策課にそうした実情を話し、昨年12月に同市から静岡運輸支局に対する「要請書」の提出をお願いした。そして今年3月に17台の日本版ライドシェアの許可枠を静清交通圏のタクシー事業者に頂いた。結果として、4月から清水港におけるイベント型日本版ライドシェアが2台からスタートし、5月には5台、そして9月には10台となった。
 清水港における日本版ライドシェアの運行は、今年最後となったクルーズ船寄港日の11月までに延べ50日間で126台が224回の運行を行い、780人のインバウンド客が利用した。
 また、日本版ライドシェアの乗務員は海外での就業体験や留学経験を持つ人が多く、英語が堪能な人が多い。
 清水港からは、箱根や河口湖、富士山5合目など6時間以上の長時間チャーターがあり、英語でのコミュニケーションができる日本版ライドシェア乗務員の評価も高い。
 日本版ライドシェア開始当初の、貸切でのチャーターと一般のワンウエイの順番を巡るトラブルに関しても、日本版ライドシェアでもワンウエイの運行ができる仕組みを作ったことにより、タクシー乗務員との公平な運用ができるようになった。
 新しい試みに問題はつきものだが、逆にトラブルに突き当たることによって、新しい知恵と仕組みが生まれてくるものだと改めて実感している。日本版ライドシェアは乗務員不足によるタクシー不足の問題を解決しようと作られた新たな制度だが、とりわけこのクルーズ船寄港というイベントによる一時的なタクシー不足に対処するには優れた仕組みであり、全国100カ所に及ぶというクルーズ船寄港地のタクシー不足にうまく活用してもらいたいものだ。

2025年クルーズ船客のタクシー利用状況

 つい最近、静岡市の交通政策課から同市のホームページに公開する「クルーズ客によるタクシー全体の利用状況」という資料を頂いた。
 この資料は、2025年4月から今年11月までの実績データを集計したもので、株式会社静岡TaaSトラベルの配車明細データを活用している。
 静岡TaaSでは今年、国土交通省の共創モデル実証運行事業プロジェクトに「クルーズ船寄港時の空白解消とインバウンドタクシー観光のアップデート」のテーマで応募し、採択され、実施して来ている。その一環として、積極的に静岡市や静岡県、静岡運輸支局に配車データの報告を行って来ている。今回そのデータを含めて静岡市の交通政策課が利用状況を集計してグラフ化、解析を行っており、興味深い内容となっている。
 その集計によると、清水港・日の出埠頭へのクルーズ船の寄港は83隻(77日)で、乗客は14万人、乗員は6・7万人となっている。
 大型船の寄港日を中心に手配窓口を52日設置し、運行回数は約3000回(約60回/日)、乗客は約1万人(約200人/日)、売上は約4300万円(約80万円/日)である。
 内訳は、タクシー・日本版ライドシェアの運行回数が、一般のワンウエイで1800回、貸切のチャーターで1260回だった。乗車人数は、ワンウエイが約6300人、チャーターが4276人。売上額は、推計でワンウエイが約700万円、チャーターが3686万円であった。また、単価については、ワンウエイが約3900円/回で約1100円/人、チャーターが2万9295円/回で8620円/人であり、富士山観光を中心にして清水港での貸切のチャーター運行が如何に恵まれているかを如実に示している。
 ちなみに、この資料ではチャーターの運行時間の割合を円グラフにしているが、1・5時間が19%、3時間が20%、4時間が35%、6時間が15%となっている。世界的なアイコンである富士山のおかげと言うこともあるが、魅力的な観光コースの醸成と現場での英語での営業も大きいと思われる。
 多くのクルーズ船寄港地では、こうした現場での営業活動は行なわれておらず、潜在需要を掘り起こせていないのではないか。まだまだやり方によってはクルーズ船向けのタクシー需要の拡大は見込めるのではないか、と思っている。
 一方で、この資料では、クルーズ船寄港によるタクシー不足がクルーズ客に長時間の待機を強いており、特に特定のクルーズ船や、曜日によっては40分以上の待ちが発生していることを示している。
 目安としては、タクシーのチャーター台数が30台を超えると20分以上の配車待ちが発生する確率が高いと分析している。
 今回の資料では、既に運行されている日本版ライドシェアの実績の集計は表示されていないが、1割以上の貢献があったと思われる。
 事実、分析の結果から、【今後の対応事項】の内容として「市内のタクシー事業者による日本版ライドシェアの実施」と明記されており、また「岸壁におけるタクシー需給の過不足の状況、タクシー位置情報や配車の可能時刻を把握し、岸壁とタクシーがリアルタイムで共有できるシステムの構築実証(配車効率の向上、タクシー実台数の増加)」と提言されている。
 まさに、静岡TaaSが静岡県タクシー協会、財団法人駿河企画観光局などとパートナーを組み、実施している共創プロジェクトの内容そのものである。
 是非、この施策を静岡市としても支援、推進をお願いしたいところだ。静岡市の観光事業の潜在能力は限り無いものがあり、クルーズ船に限らず、多様なインバウンド需要を取り込むための体験型の観光コースの醸成とプロモーションに取り組んでいくことを、来年への抱負としたい。
(2025年12月18日記)


清野 吉光(きよの よしみつ) 略歴
1950年 長野県四賀村生まれ、印刷関係など様々な職業に従事。
1976年 清水市の日の丸交通入社。
1980年 静岡市内の事務機器センターに入社。
1982年 システムオリジンを仲間と創業、専務取締役。
1992年 代表取締役社長就任。
2016年3月 システムオリジン社長退任。クリアフィールド取締役。
2021年5月 一般社団法人静岡TaaS代表理事に就任。
2025年1月(株)静岡TaaSトラベル設立

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