タクシージャパン 掲載コラム

静岡発観光特化型サブジョブドライバー育成事業

1年間の実証実験終了

 この6月末で、昨年7月1日からの『定額タクシー乗り放題』(タク放題)、そして「しずおかMaaS」の実証実験として今年1月から受託してきた『のりあい放題』サービスが終了する。
 この1年間にわたるタクシー需要を新たに創出し、限られた地域ではあるが、地域の移動需要に応えようとする「タク放題」などの試みは、利用者から多大な評価を頂いたものの、主催者としては採算上の課題をクリアさせることが出来ず、一旦は終了させることにした。
 しかし、この1年間の正反両面での教訓を生かし、来年度に再度の挑戦が出来るように準備を進めたい。

「人材育成事業」への応募

先月号のこのコラムにおいて、国土交通省の「共創モデル実証事業」で「人材育成部門」への応募をしたい旨を述べたが、私が代表理事を務める「静岡TaaS」単独での企画では採択が難しいことが判明し、「静岡市大谷地区モビリティサービス共創プロジェクト」という形で応募することになった。
 事業概要としては、「学生から子育て世代、高齢者までの多様な移動ニーズを整理し、自分ゴトとして地域公共交通サービスの創造・維持・改善できる体制を構築すべく、交通事業者と地元関係者でワークショップ(WS)と体験乗車会を開催し、人材育成の一環として来年度の実証実験企画を協議する」というもの。取組の詳細としては、
①住民の移動ニーズ・課題の整理
②大学生の地域活動との連携
③地元交通事業者の事業性・新規取組、他地域のまちづくり活動の情報共有
④オンデマンド交通やシェアサイクルの体験乗車会と実証実験企画
⑤交通事業者・自治会・学生組織が連携した地域公共交通サービスの協働・連携マニュアル作成
の5項目について企画している。既に応募が締め切られ、現在は審査が進行中だが、来年の本格的な共創モデル運行事業の準備に役立てることが出来れば有難い。

『静岡発観光特化型サブジョブドライバー育成事業』

一方で、「静岡TaaS」の事業構想の大きな柱である、タクシー業界にもっと静岡市の活性化につながる観光事業を組み込む活動についても進めて行きたいと思う。特にコロナ収束による国際拠点港湾・清水港へのクルーズ船の寄港の復活、拡大をバネに内外の観光客に向けた観光タクシーの供給力を強化したい。そこで、きっかけとして観光庁の事業に応募することにした。クルーズ船の寄港という静岡市清水区の特長を活かし、観光都市・静岡の活性化だけでなく、併せてタクシー業界の乗務員不足を外国語やガイド能力のある方にタクシーの観光特化型サブジョブドライバーになってもらおうという、逆転の発想での取組である。全国各地のクルーズ船寄港地にも参考になるかと思い、少し詳しくこの事業の内容を旅ナカラボ合同会社の野添さんが書かれた企画書に基づき紹介したい。

【事業概要】

 アフターコロナで清水港に大型客船が戻り始め、観光需要拡大の好機であるものの、タクシー観光については「人手不足」や「人材不足」に起因する課題のために十分に対応できてない。インバウンド需要の獲得に向け、観光分野の専門家等の「外部人材の二種免許取得」を仕組化し、観光特化型乗務員を増やす取り組みにより「人」の問題を解消し、静岡独自の着地型旅行商品として販売する。

【実施体制】

代表:静岡県タクシー協会清水支部
事務局:一般社団法人静岡TaaS(ツアー販売)
構成団体:南急観光、千代田タクシー、駿河交通、静岡平和交通(人材教育・ツアー実施)、ローカルトラベルパートナーズ株式会社(ツアー企画、販売)

【地域の課題】

清水港に観光客船が戻って来た(2023年は約80隻)が外国語対応・観光対応が可能なタクシー乗務員が不足している。再乗船間際のタクシー代金支払時にカード決済でのトラブルが発生している。

【タクシー業界】

 需要の回復傾向にあるが、コロナ禍で発生した大量の離職者が戻らず、車両はあるが、人手不足で稼働できないことが課題となっている。観光タクシーでは当該地域における外国語、観光対応の乗務員の不足への対応、対応可能乗務員リストの整備が課題である。

【造成するインバウンド向け観光コンテンツの内容】

1.外部人材の二種免許取得による観光特化型サブジョブドライバー育成
・観光関連事業(専門性、言語能力等)の外部人材への2種免許取得支援セミナー実施
・観光タクシー実地指導の後、観光特化型(副業型)の乗務員と助手席通訳乗務員輩出
2.事前決済型インバウンドパッケージ商品造成と販売
・地域内タクシーの外国語対応可能乗務員リストの整備
・音声通訳機器を利用した外国人向け観光タクシー基本コースの旅行商品化(事前決済)
3.専門家人材ドライバーによる静岡新観光コンテンツ商品の造成と販売・専門性・趣味性・独自性の高い領域(お茶・まぐろ・和菓子・缶詰・サッカー等)に特化したユニーク人材によるユニーク観光タクシーツアーの造成と販売

【アピールポイント】

今回の企画では、タクシー乗務員をインバウンド・観光に対応させるのではなく、インバウンド・観光対応可能な人材に2種免許を取得させ、週末限定・観光限定等の観光客船の繁閑に合わせて勤務が可能な副業的タクシー勤務を実現させる全国でもユニークな取り組みとなる。また、2種免許未取得者向けの助手席観光通訳の可能性にもチャレンジする。それにより、地域として観光タクシーの人手不足・人材不足を解消するだけでなく、富士山、日本平等の一般的な観光ルートに加えて、静岡の地場産業や今のトレンド等の専門性や独自性の高いコンテンツを「人の魅力」で伝える商品として販売することで、他の港にはない清水港への客船誘致の強みとしていきたい。

配車業務受託・共同配車化の推進

さらに、「静岡TaaS」の基幹事業として静岡市における地域全体最適配車のためのプラットフォームとして、共同配車の推進を目指している。
 現在は、各社の配車業務の受託を進めながら、各社の実情に応じてステップを踏みながら進めて行きたい。その有力な推進力として配車センターのDX化、具体的には電話での注文をコンピュータで受けることが出来るIVRシステム、スマホアプリ(タク呼び)の普及、さらに広く普及しているLINEでの配車受注も可能にし、さらにホテルなど置き型の注文タブレットの設置も進めて行きたい。
(2023年6月29日記)


清野 吉光(きよの よしみつ) 略歴
1950年 長野県四賀村生まれ、印刷関係など様々な職業に従事。1976年 清水市の日の丸交通入社。1980年 静岡市内の事務機器センターに入社。1982年 システムオリジンを仲間と創業、専務取締役。1992年代表取締役社長就任。2016年3月 システムオリジン社長退任。クリアフィールド取締役。2021年3月 システムオリジン戦略企画担当取締役に就任。2021年5月 一般社団法人静岡TaaS代表理事に就任。

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