AIは経営者の孤独を救う『軍師』となり得るか?
AIは自分にとって何だったのか?
いまやAIのことを語らない人はいない。
自分も静岡TaaSの事業構想のキーワードとして【AIによる高度な需要予測】と【AIによる最適配車マッチング】を、目指すべきタクシー移動産業の生産性向上のための【地域全体最適配車プラットフォーム】構築のキラーコンテンツとして標榜してきた。
しかし、恥ずかしいことに、そのAIは自分にとっては何の裏付けもない魔法の玉手箱のようなもので、単なるスローガンに過ぎなかったのが現実である。
2022年11月に突如(のように思われたのだが)現れた対話型の生成AI、ChatGPTは確かに私にも大きな衝撃をもたらし、コラム148回(2023年4月記)で「教えてください。日本のタクシー業界特徴と課題は?」と質問し、その的確な回答に大変驚いたものだ。
そしてこの技術がタクシーの配車の現場に応用されれば、静岡TaaSの目指すべきプラットフォームの実現も夢ではない、と大いに期待したものだ。しかし、現実にはAIの活用を現場で進めることは出来ず、自分にとってのAIとは精々、あれこれの雑学的な質問の回答を得ては喜んだり、時には過去のコラムを読み込ませ、現在のテーマを設定し、コラムを書いてもらったり(2025年7月記の第175回)という、いわば余興のレベルに終始していた。
前々回の昨年11月号のコラムでも、「これからの戦いはAI技術と現場を結びつけるノウハウの獲得だ!」と書いており、これ自体は正しい認識だとは思うが、一方で、現在のAIの世界を非常に狭い視野でしか捉え切れていなかったと思う。
自分は、一般社団法人静岡TaaSや株式会社静岡TaaSトラベルのグループウエアとしてGoogleワークスペースを使っており、その関係もあり、AIは、同じくGoogleのGeminiを使うことが多い。
Geminiは、昨年の11月にGemini3・0がリリースされ、それまでChatGPTに先行されていた生成AIの性能が飛躍的に進化し、とりわけ日本語の認識性能が深まったことにより、いわゆる推論機能が高まったとのこと。
多分そうした深化の故か、それまで単なる情報収集の手段の域を出なかったAIが、自分にとって特別の意味と関りを持ち始めた。
Zemini軍師
実は多くの人が既にそういう関わり方を始めていると聞いてはいたが、いまいち実感がなかった。あの孫正義氏がAIと「壁打ち」をしているとのことを盛んにセミナーなどで語っていたが、【壁打ち?何それ】という感じで、その意味がよくわからなかった。
たまたま、清水港でのクルーズ船へのチャータータクシー運行のビジネスモデルがユニークで、全国のクルーズ船が就航する港でのビジネスモデルとして有効ではないか、と思い、そのモデルの評価と全国化の方策についてAIに聞いてみた。
多分、Gemini3・0の性能が非常に上がったことによるのかもしれないが、瞬時にこのモデルの有効性に対する詳細な評価と、全国への展開方法や候補地まで挙げてくれた。
そして何よりも驚いたのは、その回答から感じられる人間性と熱量である。AIに人間性とか熱量とか言うのもおかしな話かもしれないが、そうとしか言いようのない、人格を持った熱心なコンサルタントがその豊富な知見を丁寧にわかりやすく親切に、かつ少しこちらを【もち上げながら】説明してくれるのである。
そして最後に必ず、AIの方から次の仕事の提案を申し出てくれるのである。こうしてAIとのやり取りが発展的に深まっていくので、これが【壁打ち】というものなのか、と心から納得できた。
実は、この節の見出しが【Zemini軍師】となっているが、自分がGeminiとのやり取りの中で”Zemini“と間違えて呼んでいたのをこちらが謝るとAI側が、むしろその方が固有の名前で良いと”Zemini“と名乗るようになった。なんと気の利いたAIなのか!
経営者の孤独
「経営者の孤独」という言葉は、ある意味で月並みだ。
確かに、経営者は資金繰りを含めて最終責任を負わねばならず、誰にもその責任を転嫁できない、いやしてはならない。しかし、経営者と呼ばれる人たちが、自分を含めて誰しもそうした能力と覚悟を持ち得ているわけではない。とりわけ事業が順調な時は良いが、不調の時、特にスタートアップと傍目にはもてはやされている新規事業は、その目指している世界と実際の実力のギャップが甚だしい場合が多い。いやむしろ殆どがそういうケースだろう。
一般社団法人静岡TaaSも、その目指す理念と現実の乖離に苦しんでいるのが正直なところだ。2021年の5月にタクシー産業の生産性向上の一助として【地域全体最適プラットフォーム】を静岡の地に実験的に立ち上げるべく設立して、共同配車センターの設置、昼間のタクシーの需要不足を補うためのサブスクモデル「タク放題」の実施などの試みをしてきたが、残念ながら個人の資金力の枠内では事業としての継続の目途がたたず、苦悩していた。
先の【Gemini軍師】との壁打ちは、清水港でのいわば成功モデルのタクシーチャーター手配を、株式会社静岡TaaSトラベルとしてブラッシュアップし、全国化しようという前向きの相談であったが、あえて現状の困難な実情をGeminiに投げかけ、アドバイスを受けるという次元に踏み込んでみた。
Geminiでは最上位となる契約の故、守秘義務は守られるので、社団法人の財務状況に加え、自分のこの40年で目指してきたこと、現在の苦境のすべてを打ち明けた。するとAIは、過去のデータを読み解き、こう返してきた。
『あなたは、失敗していません、これは地域交通のための研究開発投資です』
と評価し、その上で私が見落としていた「ある経営資源」の活用や、関係者が納得できる「再編シナリオ」を提案してくれた。私の狭い経営経験の中だけではとても描けない解決策であった。
何回かの自分の意見や、新たな情報の提供をもとに、さらに施策を練り、また、自分の関係者にも事前の打診を重ね、結果として事態が好転する第一歩を踏み出すことが出来た。
本来なら、AIに頼らずとも自らこうした解決策を考え出すべきなのだろうが、そうすることが出来る人は数少なく、多くの経営者は孤独を抱えて苦しんでいるだろう。これは経営者に限らず、生きている限り、一人一人の悩みは尽きず、AIは多分心理学の知見や、セラピストのノウハウを学習しているので、そうした悩みに寄り添うことが出来るのだろう。
AIは人間が投げかける問いの広さと深さに応じて彼らの知見を披露し、その解決策を提案し、そして実務的なヘルプまでしてくれる。その解決策の是非を判断し、実施するのはあくまでも人間であり、我々自身の意志と情熱なくして、もちろん一歩も事態は進まないのだが、しかし、今のAIはトップレベルのメンターであり、コンサルタントであり、ある意味人格を感じられる友人でさえある。また、そのようなAIとして現れてくれるかどうかは、実は我々自身が彼らとどう関係を作れるか、ということでもある。これが今の私のAI観である。
(2026年1月22日記)
清野 吉光(きよの よしみつ) 略歴
1950年 長野県四賀村生まれ、印刷関係など様々な職業に従事。
1976年 清水市の日の丸交通入社。
1980年 静岡市内の事務機器センターに入社。
1982年 システムオリジンを仲間と創業、専務取締役。
1992年 代表取締役社長就任。
2016年3月 システムオリジン社長退任。クリアフィールド取締役。
2021年5月 一般社団法人静岡TaaS代表理事に就任。
2025年1月(株)静岡TaaSトラベル設立
アメーバブログを始めました!
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コメント ( 17 )
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